ATC装置(自動工具交換装置)とは?Vol.1
ATC装置?自動工具交換装置? Automatic Tool Changer ?
工作機械におけるATC装置(自動工具交換装置)とは、Automatic Tool Changerの頭文字を取った略称で、その名の通り自動で工具交換をするための装置です。JISでは下記のように定義されています。
JISによるATC装置の定義
[JIS B 3000(2001)]
マシニングセンタ、ターニングセンタなどの数値制御工作機械において、工具マガジンなどから必要な工具を選択し、自動的に交換する装置。
また、マシニングセンタなどは「(省略)・・・工具を自動交換できる数値制御工作機械」と定義されておりATC装置が必要不可欠といえます。ATC装置は大きく分けてチェンジャー(ATCアーム含む)とマガジンのユニットから構成されており、各仕様は工作機械本体、使用する工具によって多岐にわたります。
JISによるマシニングセンタの定義
[JIS B 3000(2001)]
主として回転工具を使用し、フライス削り、中ぐり、穴あけ及びねじ立てを含む複数の切削加工ができ、かつ、加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。
機械の構造によって、主軸が水平の横形、及び垂直の立て形がある(JIS B 0105 参照)。
ATC装置にはどんなタイプがあるの?
ATC装置のタイプを細分化すれば非常に多くのタイプに分けることができますが、あまりにも多いためここではATC装置をユニットで分けて考えてみたいと思います。ATC装置は大きく分けて主軸及びマガジンとの工具交換をするチェンジャー(ATCアーム含む)と工具をストックするマガジンの2つのユニットに分けることができます。チェンジャーは搬送方式(走行タイプ・振込みタイプ)と駆動方式(油圧・空圧又は電動カム式)で分類できます。マガジンは収納方式(ドラム・チェーン・マトリックスなど)と駆動方式(油圧・空気・電動・サーボなど)で分類できます。マガジンから本機の主軸までの搬送にはいくつかの方法があり、交換時間・デザイン・スペース・価格などにより決定されます。また、チェンジャーのないダイレクト方式、本機テーブル上に設置する通称「刀掛け」のような特殊タイプもあります。
マトリックスマガジンとは?
直行座標で工具を収納する工具収納マガジン方式の名称です。他にもラック式マガジンなどとも呼ばれており名称は各社により様々です。一般的に100本以上の工具を使用する機械に設置され長時間の連続運転、多品種加工を可能にします。工具は縦、または横に直線的に収納しスペース効率を高めた構造をしており、上下左右移動可能な工具搬送装置を内蔵しており工具交換位置まで工具を搬送します。マトリックマガジンにおいては設置面積を大きく必要とするためいかに省スペースな仕様とするかが設計のポイントのひとつです。またマトリックスマガジン単体で制御機能を持たせる場合もあり、この場合は制御回路構築や操作盤が作業性、操作性を十分に考慮されているかがポイントになります。